社労士になるには・社会保険労務士の仕事内容と求人一覧

社会保険労務士とは

社会保険労務士のイメージ

社会保険労務士(社労士)は、労働や社会保険に関する法律と人事・労務管理を専門とする職種で国家資格を持ちます。従業員の雇用や退職で発生する社会保険の手続きや、職場で発生するさまざまな労働問題のコンサルティングと対処を行うほか、公的年金に関する唯一の国家資格者として年金に関する相談にも応じます。

具体的な業務内容

社労士は、企業が活動していく上で必要な3要素である「ヒト」「カネ」「モノ」のうちの、「ヒト」の問題に関するエキスパートとして、雇用や労働にまつわる問題を広く取り扱います。社労士は、採用してから、その被雇用者が退職して無事に年金を受給するまでのいたるところに関わります。

従業員を採用すると、企業は従業員の労働保険や社会保険に関する手続きをはじめます。その手続き業務を代行するのが社労士です。

労働保険とは、労働者の生活をサポートするために設けられた制度の総称で、労働災害に巻き込まれて働くことができなくなった場合に適用される「労災保険」と、失業した場合のセーフティーネットになる「雇用保険」を指します。社会保険は、主に老後の生活を支える「厚生年金」と、労働者とその家族の病気や怪我(労働に関わらないもの)を保障する「健康保険」を含みます。

労働保険も社会保険も、一部の職種や規模の小さな職場を除いて加入の義務があります。加入の義務がない職場でも、両保険の有無は、求職者が就職・転職活動で企業を選択する際の重要な要素となっているため、従業員を集めたい場合には、事実上加入は必須ともいえます。しかし、労働保険や社会保険の制度は複雑で、手続きの書類作成にはかなりの時間を要するうえ、年度更新や算定基礎業務には専門的な知識も必要です。申告額に誤りがあれば、追徴金などを課される場合もあります。また、手続き自体は本業の増益に直結しないため、できる限り労力をかけたくないと考える経営者は少なくありません。このような作業を専門知識をもとに代行し、企業が手続きにかける時間や人件費を大幅に削減させるのが社労士なのです。

採用した従業員が働きはじめてからの人事・労務管理においても、社労士が関わる場面はあります。就業規則の作成・見直しや、賃金制度の構築に関するアドバイスなど、人事・労務に関するコンサルティングを通じて良好な労使関係の構築を手助けし、企業経営をサポートすることも、社労士の業務のひとつです。

パワーハラスメントや賃金の未払いなど、従業員と企業との間に職場に関するトラブル(個別労働紛争)が発生した場合、争いを解決に導くサポートをすることも社労士の業務の範囲です。労働関係のトラブルを解決する手段としては、裁判のほかに「裁判外紛争解決手続」(ADR)とよばれる簡便な方法が用意されており、「特定社会保険労務士」の認証を受けた社労士は、ADRにおいて代理人となって当事者の権利を守ることができます。専門知識のある社労士が入ることで、当事者本人がADRを行う場合よりも迅速で柔軟な解決の実現が期待されています。裁判に発展してしまった場合、社労士は代理人になることはできませんが、補佐人という立場で委託を受け、当事者の権利主張を陳述できます。

また、社労士は公的年金に関する唯一の国家資格者として、年金に関する相談を受けることも可能です。原則的に全国民が、何らかの年金に加入している日本ですが、制度が年々複雑化しており、制度の全てを把握している人は少ない状況です。社労士への相談により、本来受け取れるはずの年金を、知らないがために受け取れないという事態を防ぐことができるのです。

将来性

開業している社労士の場合、ほかの士業に比べて将来への明るい材料はやや多いようです。

政府の主導する「働き方改革」の影響や、採用難が続いているという事情もあってか、就業規則や賃金体系を見直し、人材の定着率を向上させようという企業が多くなっているようです。また人手不足のなかで、直接利益に直結しない労働・社会保険手続き業務を社労士にアウトソーシングしようという企業も増えることが予想されています。

「具体的な業務内容」の項目で挙げたように、社労士の業務範囲には労働・社会保険手続きの代行業務も、人事・労務管理のアドバイスも含まれるため、社労士を必要とする市場自体は広がるものと考えられます。ただし、保険手続きの代行業務は定型処理のため単価が安く、開業して収入の軸とすることは難しいようです。また、人事・労務管理のアドバイスは社労士の独占業務ではなく、無資格者も可能で参入障壁が低いため、これも収入の軸とするのは困難でしょう。社労士として開業する場合は、今後件数が多くなる保険手続き業務や人事・労務管理のアウトソース化の受任をきっかけに、人事全般のコンサルティングを請け負う「経営者の相談役」を目指すのが現実的と考えられます。

事業会社に勤務する社労士も、見通しは悪くないようです。労働・社会保険手続きや人事・労務管理を重視する流れのなかで業務をアウトソース化する企業がある一方で、社内の人事部・総務部を強化し、社内事情を素早く把握・改善することに重きを置く企業もあると考えられるためです。ただし、社内業務として保険手続きや紛争手続きを行う限りは社労士資格が不要であるため、資格があれば採用や出世に加点されるという程度の評価になる可能性もあります。勤め先の給与体系によっては、資格手当なども期待できます。

社労士になるには

社労士として業務にあたるには、原則として国家試験である社会保険労務士試験に合格し、その後社会保険労務士名簿への登録が必要です。

試験の概要

「社会保険労務士試験」は、例年8月に行われます。試験は完全マークシート方式で、選択式と五肢択一式の問題があります。さらに出題分野ごとに足切り点も設定されており、万遍のない学習が求められます。

合格率は平成28年度は4.4%でしたが、過去10年で2%台から10%台までとばらつきがあります。年により合格難易度は多少異なるものの、概ね難関資格といえそうです。なお、一部の公務員経験者では、科目の免除を受けることができます。

登録

試験合格後は、全国社会保険労務士会連合会に備える社会保険労務士名簿への登録が必要です。登録には要件があり、2年以上の実務経験(労働社会保険諸法令関係事務)があるか、事務指定講習(全国社会保険労務士会連合会が実施する労働社会保険諸法令関係事務指定講習)を修了している必要があります。講習は4ヶ月の通信指導課程と4日の面接指導課程があります。

社労士の年収

社労士の収入は、厚生労働省の平成28年度賃金構造基本統計調査によると、43歳の勤続10.5年時点で月収3,590,000円、年収は5,265,400円です。これは一般の平均年収432万円に対して約950,000円多い数字です。

社労士の求人について

社労士の求人は、事業会社では、人事部や総務部が多く、場合によっては法務部やコンサルティング会社などでの募集もあるようです。多くの場合、社労士資格は歓迎要件にとどまり、各部門での実務経験が必須要件となるようです。有資格者には資格手当で優遇するケースもあります。転職エージェントや転職サービスに相談してみるとよいでしょう。

社労士事務所でも、総務や人事経験を求めるところが多いようですが、パートやアルバイト、非常勤の求人は「未経験者歓迎」もあるようです。ただし、小規模の事務所が多いため、民間の転職サービス上では募集していないことも多く、ハローワークなどで探すのも有効でしょう。

出典:全国社会保険労務士会連合会 https://www.shakaihokenroumushi.jp
社会保険労務士試験オフィシャルサイト http://www.sharosi-siken.or.jp

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